3歳までに決まる腸内細菌!健康、老化、メンタルヘルスに劇的な影響を与える驚きの科学

2025-07-11
3歳までに決まる腸内細菌!健康、老化、メンタルヘルスに劇的な影響を与える驚きの科学
ニューズウィーク日本版

3歳までに決まる腸内細菌!健康、老化、メンタルヘルスに劇的な影響を与える驚きの科学

「あなたは、何を食べたかで決まる」という言葉がある一方で、本書『健康の土台をつくる 腸内細菌の科学』(日経BP)は、さらに大胆に「あなたは、腸に棲む細菌で決まる」と問いかけます。京都府立医科大学の内藤裕二教授による、腸内細菌学と抗加齢医学の研究成果をまとめたこの一冊は、私たちの健康観を根底から揺さぶるでしょう。

腸内細菌が全身に及ぼす驚くべき影響

内藤教授は、数々の最新研究データに基づいて、腸内細菌が消化器疾患だけでなく、老化、精神状態、免疫力、肥満といった、これまで連想しなかった幅広い分野に深く関わっていることを明らかにします。例えば、腸内細菌叢の多様性が低いと、免疫機能が低下し、アレルギーや自己免疫疾患のリスクが高まることがわかっています。また、腸内細菌が生成する物質は、脳の機能に影響を与え、うつ病や不安症といった精神疾患の発症にも関与しているというのです。

「第二の脳」から「もう一つの自己」へ

本書を読むにつれて、腸は単なる消化器官ではなく、「第二の脳」どころか、「もう一つの自己」であることに気づかされます。腸内細菌は、私たちの遺伝子発現を変化させ、ホルモンバランスを調整し、さらには行動や感情にも影響を与えるというのです。つまり、腸内細菌は、私たちの健康と幸福を左右する、極めて重要な存在と言えるでしょう。

3歳までの腸内細菌叢形成

本書の最も注目すべき点は、腸内細菌叢が、実は3歳までにほぼ決定されるという事実です。この時期の食生活や生活習慣が、その後の健康を大きく左右します。母親の妊娠中の食生活や出産方法、そして幼少期の食事内容や運動習慣などが、腸内細菌叢の多様性とバランスを決定づける重要な要素となります。

未来の健康のためにできること

本書は、腸内細菌を理解し、積極的にケアすることの重要性を訴えます。発酵食品や食物繊維を積極的に摂取し、腸内環境を整えることが、健康寿命を延ばすための第一歩となるでしょう。また、ストレスを軽減し、十分な睡眠をとることも、腸内細菌のバランスを維持するために不可欠です。

『健康の土台をつくる 腸内細菌の科学』は、私たち一人ひとりが、自身の健康について深く考え、より良い生活習慣を身につけるための、貴重な羅針盤となるはずです。

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