黒田東彦氏が徹底解説!ブレトンウッズ体制とは?金ドル本位制崩壊の真相と現代への影響

米トランプ政権の関税交渉を主導したスコット・ベッセント財務長官の発言をきっかけに、再び注目を集めているブレトンウッズ体制。前日本銀行総裁の黒田東彦氏が、その全貌と歴史的背景を分かりやすく解説します。
連載『黒田東彦の世界と経済の読み解き方』では、今から80年前のブレトンウッズ会議から、IMF(国際通貨基金)の創設、そして金ドル本位制の崩壊まで、国際金融体制の変遷を紐解きます。なぜこの体制は誕生し、なぜ終焉を迎えたのでしょうか。
ブレトンウッズ体制とは?
第二次世界大戦後の1944年、アメリカのニューハンプシャー州ブレトンウッズで開催された国際会議で決定された、国際金融体制のことです。この体制の主な特徴は以下の3点です。
- 金ドル本位制: 各国の通貨は金に兌換可能であり、アメリカドルは金に兌換可能でした。
- 固定相場制: 各国は自国通貨のレートをアメリカドルに対して固定しました。
- IMF(国際通貨基金)の設立: 通貨危機の発生時に、各国に融資を行うことで、国際金融の安定化を図る機関として設立されました。
ブレトンウッズ体制が誕生した背景
戦後の世界経済の混乱を収束させ、安定的な経済成長を実現するために、ブレトンウッズ体制は必要とされました。特に、アメリカは戦勝国として圧倒的な経済力を持ち、世界経済のリーダーとしての役割を担うことになりました。
金ドル本位制崩壊の要因
しかし、ブレトンウッズ体制は長くは続きませんでした。1960年代後半から、ベトナム戦争による財政赤字の拡大、インフレの進行、そしてアメリカの対外債務の増加など、様々な要因が重なり、金ドル本位制は揺らぎ始めました。
1971年、アメリカのニクソン大統領は、金ドル本位制を停止する衝撃的な決定を下しました。これにより、ブレトンウッズ体制は完全に崩壊し、変動相場制へと移行しました。
現代への影響
ブレトンウッズ体制の崩壊は、世界経済に大きな影響を与えました。変動相場制の下では、為替レートが変動するため、企業は為替リスクを考慮せざるを得なくなり、国際貿易や投資に影響を及ぼしました。
しかし、一方で、変動相場制は、各国の経済状況に応じて通貨価値を調整できるため、経済の柔軟性を高める効果ももたらしました。
黒田東彦氏の解説を通して、ブレトンウッズ体制の歴史的意義と現代への影響を深く理解することができます。この連載を通して、世界経済の未来を読み解くヒントが得られるはずです。