「体育嫌い」を生むのは教師にある?スポーツ指導との違いから考える、これからの体育のあり方

2025-05-19
「体育嫌い」を生むのは教師にある?スポーツ指導との違いから考える、これからの体育のあり方
教育新聞

「体育嫌い」はなぜ生まれるのか?教師の指導に潜む課題

どの生徒にも、好きな教科、嫌いな教科があるのは当然のこと。しかし、「体育嫌い」という言葉を聞くと、単なる好き嫌いの問題ではなく、授業内容や指導方法に問題があるのではないかと感じることがありませんか? 体育の授業を嫌がる生徒の背景には、教師の指導とのミスマッチ、あるいはスポーツ指導のやり方が、大きな影響を与えている可能性があります。

本記事では、「保健体育」の教師や、教員養成に携わる大学の先生方にインタビューを行い、「体育」という教科が本来何を学ぶべきなのか、そして「体育嫌い」を減らすために、教師自身がどのように考え、行動すべきなのかを探ります。スポーツ指導とは異なる視点から、これからの体育教育のあり方を考察します。

スポーツ指導と体育教育の違いとは?

多くの人が「体育」と聞いて思い浮かべるのは、スポーツの技能習得や体力向上といったイメージかもしれません。しかし、体育教育はそれだけではありません。体育とは、運動を通して、身体を動かすことの楽しさや喜び、ルールを守ることの大切さ、仲間と協力することの重要性など、生きていく上で必要な様々なことを学ぶ教科なのです。

一方、スポーツ指導は、特定のスポーツの技能向上や競技成績の向上を目的とします。そのため、高度な技術や戦術、体力トレーニングなどが重視されます。しかし、スポーツ指導のやり方をそのまま体育教育に応用すると、「楽しさ」や「学び」が損なわれてしまう可能性があります。

「体育嫌い」を生む教師の落とし穴

「体育嫌い」の生徒には、共通する特徴が見られることがあります。それは、「先生の言うことを聞かないと罰点をもらう」「競争ばかりで、自分のペースでできない」「うまくいかないと怒られる」といった経験です。これらの経験は、体育の授業に対する嫌悪感を増幅させ、「体育嫌い」を固定化してしまう原因となります。

教師の指導方法を見直すことで、「体育嫌い」の生徒も、運動の楽しさを味わい、自信を持つことができるようになります。例えば、生徒の個性や能力を尊重し、多様な運動を体験させてあげること、競争だけでなく、協力や自己表現を重視すること、うまくいかない時でも励まし、成長をサポートすることなどが重要です。

これからの体育教育に向けて

「体育嫌い」を生む原因を深く理解し、改善していくためには、教師自身が体育教育の本質を問い直す必要があります。スポーツ指導のノウハウだけでなく、教育学や心理学の知識を学び、生徒一人ひとりに寄り添った指導方法を身につけることが求められます。

これからの体育教育は、単なる体力向上だけでなく、生徒が心身ともに健やかに成長するための基盤となるべきです。そのためには、教師の意識改革と、より人間的な指導方法の確立が不可欠です。

おすすめ
おすすめ